刮目せよ 3

自転車とカメラを楽しみます。

『SZ、猪苗代湖に散る』 - 福島ライド Day1

Prologueからの続き。

katsumoku3.hatenablog.com

 

 

福島へ

名古屋から馳せ参じたICIの初代ヴィッツに3人3台を積載して、埼玉から東北道・磐越道で移動。
自転車を積んで東北道を北上するクルマをほかにも数台見かける。おそらくツールド東北当選者だと思われるので、それとなく邪念を送っておく。

 

つつがなく移動し、宿泊先のこはんゲストハウスへ到着。
猪苗代湖すぐで、キャンプ場を通り過ぎた突き当りにある。民家にしては立派だな、という外見。

まずは宿のおっちゃんにクルマを置かせてもらう旨了承を得る。そのままクルマの脇で各自が思い思いに局部を露出し、レーパン・ジャージに着替える。周囲には誰もいないような立地なのだ。

 

猪苗代湖一周ライド

 

北岸

宿を出て、まずはキャンプ場を横に見やりながら未舗装路を流す。
ロードバイクでグラベルをグループライドしちゃうとかいうと、なんとも流行りに乗っかった意識の高いサイクリストっぽいが、ICIは過去の落車で派手に穴が空いたままのワイルドなジャージだし、SZはドーピングで永久追放されたあの選手の不名誉なジャージであるからして、なかなかロックだ。

 

1kmほど走って早速のコンビニ休憩。
EDは普通のおにぎりとパンを、ICIとSZは謎肉祭バージョンのカップヌードルを。喜んで食べる二人であったが、はたから見ると、ヤギやウサギのウ○コをトッピングしたようにしか見えない。

 

ここで湖畔北側の写真。雲に覆われているが、ほどよく暖かな、まずまずのライド日和。遠景が霞んでいるのが少々残念ではある。

 

ここから猪苗代湖を反時計まわりに走る。湖を時計の文字盤とみなしたとき、現在地点がおおよそ1時の位置。まずは北岸を西方へ向かう。

国道49号ではなく、湖岸すぐのサイクリングロードに入る。
右には、白く染まった蕎麦畑。そしてその後ろには雄大な磐梯山を見上げる。左には、穏やかで清澄な猪苗代湖を眺める。その素晴らしいロケーションで、三人は一陣の糞の香りの風*1となって駆け抜ける。

 

野口英世記念館の横でサイクリングロードは終了。国道49号に復帰して、そこそこの交通量のあるなか、EDを先頭に35km/hほどでさっさと通過する。

 

西岸

11~10時のあたり、会津レクリエーション公園で左折。ここからは県道376号で西岸を南下していく。景色はうって変わって、もはや農道といった趣。まばらな民家・畑・雑木林・湖畔の間を、緩やかなワインディングで駆け抜ける。

 

ここまでほぼ平坦だったものの、そうこうするうちに坂に接近。Stravaで「猪苗代湖南岸激坂」セグメントとして登録されている箇所だ。つづら折りのコーナーに加え、勾配15%の看板も雰囲気を盛り上げる。

ICIが重めのギヤをかけてダンシング。最盛期と比べるとボリュームを増した肉体ながら、相変わらずのヌルヌルとした無駄のないフォームで駆け上がっていく。SZもシッティングでそれに続く。EDは撮影のため、という体でさっさとインナーローに入れて脱落。
結局、SZが先頭で頂上を通過。「さすが埼玉からの車中でずっと寝ていただけあるね!」と惜しみない賞賛の言葉を投げかけ、また湖岸へ下りる。

 

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湖岸を走り、田んぼを抜けた後、県道376号を離れ、こんどは林道へ突入。
湖は全く見えず、奥武蔵グリーンラインを彷彿とさせる、アップダウンのワインディング。


もはやがんばろうという気はなく、各自だらだら走りつつ、また湖岸へ下る。この時点で湖の南岸、7時の位置まで走ってきた。 

 

南岸・布引高原

ここからは猪苗代湖を離れて南進し、布引高原へ駆け上がる。誤差レベルの登坂しかない猪苗代湖一周60kmではボリューム不足だろうとEDが余計な気を回して、布引高原へのヒルクライムを組み込んだのだ。

南に進路を向けると、遠くの山々にやたらと多くの風力発電機が生えているのが見える。その数・密度には禍々しさすら感じる。


布引高原のヒルクライムは、Stravaでは「布引高原TT」として登録されており、距離5.8km、獲得標高404m、平均斜度6.9%。しばらくは川沿いをまっすぐはしり、後半につづら折りが連続する、単調なレイアウト。斜度はおおむね一定。

まずEDが先行し、すぐに追いついてきたSZと並走。ICIは後方でマイペースを保つ。やがてSZが追い抜いていくとじきに見えなくなって、EDはもはや追いつこうという気力もなくなり、解脱走法、もとい、ゾンビ走法で、ダメージを最小限に抑えつつ走る。


つづら折りゾーンに入ってふと後ろを見ると、ニヤリと笑うICIが真後ろに追いついてきていた。いますぐちぎらなければならない、と瞬時に悟る。このまま追い抜かれるのはもちろん、張り付かれるのですらダメだ、と。
ICIは「追いつけた」という安堵で力が抜けているだろうし、ここまでの追走で体力を消耗してもいるだろう。まごまごしていれば、ICIは「EDにはついていける」となおさら調子に乗るだろうし、体力も回復してしまうだろう。EDが先行していたアドバンテージはなくなる。だから、ちぎるならいま!
じわりとペースアップ。とくに、つづら折りのブラインドコーナーで踏む。コーナーを抜けたとき、ICIはEDの背中をはるか遠くに見て、絶望し、追走を諦めるだろう、というセコい思惑で。

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結局、その小賢しい思惑が成功した、わけではなく、単純にEDは体力が回復しつつあったので、また差を広げて、そのままゴールへ。なお、SZはとうにゴールして突っ立っていた。


見晴らしの良い駐車場付近でしばらく座り込んで休憩。ひまわりはもう枯れ、コスモスが咲き始めていた。さっきまですぐ近くにいた湖が、いまは霞んで見える。

「どこから来たの」「よく自転車でのぼるね」「いくらくらいするの」「タイヤ細いね」「ギヤ何段あるの」「その靴はなに」みたいなテンプレートのやり取りを2組の夫婦と交わす。

ひとしきり休憩したのち、折り返して、こんどはダウンヒル。

 

あっという間にまた湖畔へ戻る。今度は南岸を東へ。
雑木林のワインディングを快調に流していると、後方からバキン!という甲高い音。カンパはいちいち変速するたびにこんな騒音を撒き散らすのか、やれやれ、と思っていると、「SZがついてきていない」とICI。

アスファルトに激突して無残な肉塊と化したSZを想像しつつ、恐る恐る道を戻ると、はたしてSZは五体満足だった。そもそも落車すらしていない。が、前輪のスポークが破断し、もはや自走は不可能に。


ブレーキキャリパーを開放し、湖岸のキャンプ場まで押し歩き。SZにはそこで待機してもらい、EDとICIがクルマで拾いに戻ってくることにする。

 

東岸

ここからはICIとEDの2人で東岸を北上。残り距離は20km。時間がかかりすぎるとSZは力尽きて死ぬ、などと勝手に脳内で設定し、テンションを上げて出来る限りのハイペースで走行。怪しくなってきた天気も雰囲気を盛り上げる。
県道9号はアスファルトのひび割れが多いうえ、湖からの向かい風もある。それでも下ハンを持って、ピークパワーを維持する。


路面が荒れていると、意識的に重めのギヤを踏まなければ速く走れない。そして、こういう平坦を重ギアで踏み倒すシチュエーションこそ、アルミとカーボンの差がもっとも明らかになることは経験から知っている。

ああカーボンほしいカーボンほしいカーボンほしい、としかもはや考えられなくなったあたりで、ICIに交代してもらって休む。


突き当りを左折して国道49号へ。残り5kmでまた先頭へ出るものの、風とゆるい勾配でもう速度は上がらない。雨も振り始めた。
なんとか宿へたどり着き、すぐに自転車を屋根に積載。SZを救出するため、いま来た道をクルマで折り返す。

結局、SZを生きたまま回収できた。

 

そのまま喜多方のくるくる軒でラーメン。

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#ramen #noodles #foodporn

煮干しの効いた素朴な味わい。 

 

会津若松駅近くのサイケデリックな温泉施設で入浴ののち、宿にもどる。

予想以上の雨に気をもみながらも、疲れていたのでさっさと就寝。 

 

Day2, Day3へ続く。

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*1:蕎麦の花は、虫を引き寄せるためにそこはかとない異臭を放つ